昔から日本人男性は胃腸が弱く、下痢や軟便になりやすいといわれていました。その背景には日本の湿度が高い気候や、飲食の不摂生、過度の飲酒や食事、栄養の偏りやスイーツの流行などによる影響が強いと考えられます。

今回は、下痢や軟便の原因について、中医学の視点からご説明します。。

食べ物の消化吸収には脾胃が中心となり働き、栄養と排出するものを分別しています。また消化や食べた物を腸へ送るのを助けています。
水分代謝には肺・大腸・脾・腎が深く関わっています。肺と腸は表裏の関係と考えられ、水分を吸収し体内に巡らせる働きを持ちます。は食べ物や水分が最初に入る場所で清濁を分ける働きをしています。尿を生成膀胱へ溜めて余剰な水分を体外へ排出する重要な働きを持っています。
これらの臓腑が調和されていると正常な働きをしますが、バランスが乱れたり、機能が低下すると下痢や軟便、もしくは便秘などの症状が見られるようになります。

中医学で考える下痢・軟便の原因と改善方法

  • 過度の飲酒や水分摂取をすると体内に【水】が滞り、上手く処理することができず便の水分量が増え水のような下痢や軟便になります。
    「脾は湿を嫌う」と言いまして、湿とは津液や水分が凝縮し粘り気を持ったもの過剰な水分は受納と降濁(消化と吸収)が乱れる要因となります。
    このような場合は体内の余分な水分を尿として排出し、脾胃の働きを調整することで改善へと向かうようにします。
  • 冷たい物を摂りすぎると、胃腸が冷え消化不良を起こし未消化物が混じるような便となります。
    【寒邪】(冷たい物)が体内に入り悪さをすることを「直中(じきちゅう)」といいます。寒邪には冷やして引き締めたり滞らせる性質があり、体内の温度が下がり脾胃の働きが低下するため、下痢や軟便になります。併せて腹部の冷えやお腹がポチャポチャと音がすることがあります。
    この場合は、附子や乾姜などを使い体温を上げて【寒邪】を取り除き脾胃の働きを正常にすることで症状を改善します。
  • 肥甘厚味といわれる脂っこいもの・甘い物・味の濃い物と摂りすぎると、体内で【湿】や【痰飲】が生成され、粘っこくにおいが強い便になります
    【湿】とは重く下に向かい粘っこい性質があるものと考えます。湿が体内にあると水湿が停滞し脾胃の働きを低下させます。湿が停滞し凝縮されると【痰】や【飲】となります。痰飲はめまい、食欲不振、頭痛などを引き起こす原因にもなります。
    このような場合には陳皮や半夏などを使い、湿や痰飲を取り除くことで改善へと向かいます。
  • ストレスによる下痢・軟便はゲップやお腹の膨満感、吐き気、などを伴うことが多くあります。
    ストレスは怒ったり我慢してイライラする状態を主に指しています。このような怒りの感情は肝の働きを乱す原因になります。肝の働きが失調すると気の巡りが悪くなり脾に悪影響を及ぼし、のぼせやゲップやお腹やわき腹の脹痛などが出やすくなります。
    こういった症状がある場合は、柴胡や枳実などを使うことで肝の気の流れを整え、脾の働きを取り戻します
  • 老化や虚弱体質の方朝方に下痢をしたり、夜間尿、手足の冷え、腰や膝の痛みと伴うことがあります。
    腎は生長、発育、老化や体温維持に関係があり水分代謝の中心となります。腎の機能が衰えると体温を保つことができず、手足の冷えや膝腰の痛みとして症状が現れてきます。また余剰な水分が体外にへ排出されずむくみや、便に交じり下痢・軟便となります。
    こうした時には、水分代謝を改善する茯苓や猪苓、体温を上げる附子や桂枝などを使うことで症状を改善していきます。

下痢や軟便は、随伴する症状を考えて対応することが重要になりますので、慢性の下痢や軟便でお悩みの方はお気軽にご相談ください。